ビジネスの現状分析方法を具体例を元に分かりやすく解説 | ビジネス | DataVehicle

コラム

ビジネスの現状分析方法を具体例を元に分かりやすく解説

ビジネスにおいて自社や商品の現状分析を行なうことは、戦略などを考える際に不可欠です。現状分析には、3C分析やSWOT分析など様々な分析手法があります。この記事では、ビジネスシーンで重要となる現状分析について、分かりやすく解説します。分析手法を具体例を元に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

現状分析とは

企業がビジネスシーンで勝ち残っていくためには、現状分析が不可欠です。

近年はスマートフォンやSNSの普及で、顧客や消費者のニーズが多様化しています。これに伴い市場環境も目まぐるしく変化しており、戦略設定のために現状分析は必要不可欠です。

自社の強みを知るために、競合他社を含めた市場環境などの外部環境と、自社の過去業績や現有リソースの内部環境、両側面からの現状分析が必須です。

外部環境の現状分析

まずは市場環境や顧客動向、競合他社などの外部環境について現状分析を行なうことが大切です。

今後、自社でリリースしようとしている商品があったとします。それが市場トレンドから外れていたり、顧客のニーズを捉えていなかったりした場合、当然ながらその商品の売上は伸びないでしょう。

また既に圧倒的な競合他社が参入している場合、後発では市場を奪うことができず、営業リソースの無駄遣いになりかねません。

このように、外部環境における現状分析を行なうことで、自社の立ち位置をはっきりとさせることができ、商品の販売戦略の立案などにつなげることができます。

内部環境の現状分析

外部環境の現状分析の後は、社内のヒト・モノ・カネなどの現有リソースや過去実績、KPIなどの定量情報といった内部環境についての現状分析が必要です。

外部環境の現状分析から立案した戦略を自社で実現できるのかどうかを、内部環境の現状分析から判断します。

内部環境の現状分析を怠ると、素晴らしい戦略ができあがったとしても推進する人がいない、商品開発のための予算がないといった問題にもなりかねません。

外部環境と内部環境、どちらもしっかりと現状分析を行なうことで、実現可能で効果的な戦略を立案することができるでしょう。

現状分析の手法

それでは現状分析はどのようにして行なえばよいのでしょうか?具体的な手法を5つ取り上げます。

SWOT分析

強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Oppotunity)、脅威(Threat)の頭文字を取るのが、SWOT分析です。

自社の強みと弱み、自社がいる市場の機会と脅威を把握し、今後の経営・販売戦略をどのようにするのかを決めるための手法といえます。

3C分析

顧客(Customer)、競合(Competitior)、自社(Company)の3つのCを分析する手法です。

顧客:ニーズ、市場の成熟度、今後の市場変化
競合:他社の製品やサービスの特徴、強みや弱み
自社:自社の製品やサービスの特徴、強みや弱み

自社製品の市場における立ち位置や強みや弱みを現状分析する手法で、協力者(Co-operator)を加えて4C分析とする場合もあります。

PEST分析

Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という4つの視点から、自社を取り巻く環境の現状分析を行なう手法です。

自社を取り巻く市場より、さらにマクロな視点から行なう現状分析だと言えるでしょう。

5フォース分析

フォースとは「脅威」という意味です。5フォース分析は、自社にとっての5つの脅威に関する現状分析となります。5フォースは以下の通りです。

  • 業界内での競争
  • 新規参入
  • 代替品(競合他社製品)
  • 買い手(顧客)の交渉力
  • 売り手(サプライヤー)の交渉力

どれも自社を取り巻く外部の脅威だといえます。自社製品の収益に大きく関わることであり、外部環境の自己分析をするにあたり必須の手法のひとつです。

バリューチェーン分析

原材料の調達から顧客に届けるまでの一連の流れを価値の連鎖(バリューチェーン)と捉えて、自社の活動やリソースなどの内部環境を自己分析する手法です。

バリューチェーンを分析することにより、自社の強みがどこにあるのかが分かるようになります。

SWOT分析の具体例

先ほど紹介したSWOT分析は、多くの企業が経営戦略を決定するにあたり、取り入れている現状分析の手法です。具体的な例を確認していきましょう。

自動車部品メーカーのSWOT分析

自動車のエンジン部品であるピストンリングを製造するメーカーを例に挙げて、SWOT分析していきたいと思います。

Strength(強み):内部環境の強み
・革新ラインと呼ばれる自動生産ラインを持つ
・材料の試験装置の内製化

Weakness(弱み):内部環境の弱み
・少品種大量生産で、柔軟な納期対応が困難
・自動車部品以外の分野での知見に乏しい

Opportunity:外部環境のプラス要因
・発展途上国での自動車の普及
・新規材料が業界で注目されている

Threat:外部環境のマイナス要因
・先進国での電気自動車の普及=エンジンの減衰

自動車部品メーカーのSWOT分析

ピストンリングは自動車部品の中でも特殊なものであり、競合他社も少なく、これまで順調に成長することができていました。

しかし、近年先進国が推し進めている電気自動車の導入は、エンジンがなくなることを意味します。この外部環境のマイナス要因(Threat)は相当なインパクトです。当然ながらこのピストンリングメーカーも新分野への事業拡大を検討するのが自然の流れと言えるでしょう。

クロスSWOT分析

SWOT分析を行なったあと、自社の経営戦略を立案するために、クロスSWOT分析と呼ばれる応用的な手法があります。前述したピストンリングメーカーでのクロスSWOT分析を考えてみましょう。

強み(S)×機会(O)=積極化戦略
・発展途上国での革新ラインの増強

強み(S)×脅威(T)=差別化戦略
・エンジン以外で使用できる新規材料の開発

弱み(W)×機会(O)=弱点強化戦略
・試作ラインを強化して、多品種に対応できる環境整備

弱み(W)×脅威(T)=専守防衛または撤退
・不採算部門の縮小、解体

クロスSWOT分析

このように、4つの各要素のうち2つを組み合わせることで、具体的な戦略を立案することが可能となります。ぜひあなたの会社でも実践してみてください。

現状分析をするうえで注意すべきポイント

外部環境の現状分析をする際、「市場の枠」をどう引くかは、実は難しいポイントです。

たとえば、過去に夕刊紙の編集部を舞台にしたドラマで、こんなシーンがありました。

「タブロイド紙のライバルは、缶コーヒーである」。

タブロイド紙と缶コーヒーは、まったくジャンルが異なるものです。しかし、仕事を終えて帰りの電車に乗ろうとする人たちは、どちらを買うでしょう。疲れを癒やす甘みを求めて缶コーヒーを買うか、情報の刺激を求めてタブロイド紙を買うか。こう悩む時点で、ジャンルは違えど両者は競合していることになります。

同じように、近年、自撮りした画像や動画を描こうしてメイクをしているように見せるソフトウェアが登場しています。これもある意味では化粧品メーカーの競合になるわけです。

このように、直接具体的な市場だけを見ていても、適切な競合相手が見つからない場合があります。いつもより少し抽象度を上げて市場の枠を引き直すことで、定性的にも定量的にも勝ちパターンが見えてくることがあるでしょう。

現状分析を行いビジネスチャンスを広げよう

現状分析の手法にはSWOT分析や3C分析など、定性的に確認していく手法があります。具体例を紹介したSWOT分析は、自社の外部環境と内部環境のどちらも分析する手法です。これから現状分析を行なうという企業は、まずSWOT分析を行なってみてはいかがでしょうか。

ビジネスにおいて現状分析を行うことは、ビジネスチャンスを拡大することにつながります。目まぐるしく市場が移り変わる現代において、企業が生き残っていくためには、常に最新状況の現状分析を行なうことが必須だと言えるでしょう。

 

 

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