コラム
“マート待ち”を解決しデータ活用を加速させる新製品「dataExpress」を発表
左より株式会社データビークル 常務取締役COO兼CFO 山崎将良/同 代表取締役CEO 油野達也/同 取締役ビジネス開発部部長 山本羊一
2023年9月6日、TKP新橋汐留カンファレンスセンターで「dataExpress」の発表会を開催しました。
目次
多くの組織が抱える「マート待ち」問題
冒頭挨拶したデータビークル 代表取締役CEOの油野達也は、10期目に入ったデータビークルの久しぶりの新製品だと意気込みを見せました。
10年前の創業時はビッグデータの時代、『データサイエンティストはセクシーな職業』とも言われました。そして株式会社データビークルは、その頃はまだなかった、拡張アナリティクスというジャンルの製品であるdataDiverを提供しました。これは「データサイエンティストがいなくてもマウスクリックだけでデータ分析ができるもので、すでに200社以上に導入されています。」と油野は言います。
代表取締役CEO 油野達也
さらにデータ活用人材の育成にも取り組み、DX人材育成研修を60社500名以上に実施。データサイエンティストに指示できる人を育てるとのコンセプトで、PythonやRを一切教えない研修が好評を博しています。他にもデータサイエンティストなしでデータ分析を顧客に届けるための分析サービスも行い、「児童虐待防止」「コロナ予測」「観光振興分析」などを提供してきました。
10年に亘りデータビークルのミッションである「データサイエンスをみんなの手に。」を達成すべく、これらの活動をしてきましたが、データ分析はなかなか進化していません。
なぜデータ分析が加速しないのか。
理由はいくつかありますが、顧客の声を聴くと分析のちょっと前で時間がかかっている会社が多いのではと考えました。これを『マート待ち』問題と捉えています
現状、安価になったBIツールを導入し、またデータウェアハウスを苦労しつつも構築したりして、データ分析を始める組織がたくさんあります。そういった組織では現場サイドからのニーズに応えていったん分析を始めますが、ビジネス環境の変化もあり、分析で見たいものは2ヶ月もあれば変わります。新たな分析視点でデータマートの構築を情報システム部門に依頼しても、彼らが忙しくてできあがるまでに2ヶ月程かかってしまう。このような時間差があると、実際のビジネス現場では分析視点が古くなり使い物になりません。
データマートの作成では、データを抽出して加工し、分析できるデータになっているかをチェックする必要がありますが、これらには大きな手間がかかります。また分析には、ただデータがたくさんあれば良いわけでもありません。情報システム部門はあくまでも分析者ではないので、どのような素材を集めれば良いかがよく分からないこともあります。分析者視点でデータを集め加工する必要があるのです。
つまり、分析用のデータを準備するには、データエンジニアやデータサイエンティストなど分析のプロの目が必要なのです。プロである彼らをシェルパやガイドにして、ユーザーは目的地に向かいます。そこでデータビークルでは、シェルパもガイドもなしに目的地までたどり着ける製品を新たに開発しました。
dataExpressでなぜそれが可能なのか。
理由の1つはERPなどのSoR(System of Record)システムから吐き出された伝票データを分析用に自動で加工できることです。たとえば年代別や地域別など、分析目的に応じ自動で分類します。またSoR以外のデータ、たとえばIDのPOSデータやECサイトのweb行動ログのデータ、アンケートデータなども取り込み、分析用に自動加工します。
そして最大の特長は、これらがノーコードでできることです。ノーコードで迅速かつコストをかけずに誰でも分析用データを加工できることにより、本来の目的である分析に時間を使うことができるようになります。さらに答えがはっきりしていない分析者にヒントを出すこともできます。その上で特殊な専用データ整備オプションなどは必要なく、全てのBI、BAツールで利用できます。油野は、「データ分析を行うあらゆる人に、dataExpressで新しい提案をします」と言います。
dataExpressならノーコードで誰でも簡単にデータ分析用のデータを作れる
「dataExpressは分析に必要なデータセットを、誰でも思いのままに生成することができるツールです」と言うのは、常務取締役COO兼CFOの山崎将良です。
常務取締役COO兼CFO 山崎将良
現状、データはCDPやCRM、データウェアハウスに蓄積されており、それらから抽出したデータをdataExpressにアップロードすると自動で分析用のデータを生成します。データは表形式で生成され、BIツールなどを用いて可視化もできます。またAIや機械学習のツールで使えますし、もちろんdataDiverでの統計解析も可能です。利用の際はデータをアップロードするだけで、アウトプットフォーマットの指定は必要ありません。
たとえば顧客マスターとなる「①顧客情報」、いつ何を購入したかの情報がある「②購買履歴」、商品マスターとなる「③商品情報」という3つのデータソースがあるとします。
従来の分析では、たとえば顧客マスターを男女や年代などで分けたり、購買履歴を月次で集計したり、それらを組み合わせてクロス集計するために個別で集計データを用意していました。
一方、dataExpressは、個別の集計テーブルなどを生成するのではなく集計単位を設定することで、様々な形式で集計した項目や変換された項目を自動生成します。できあがるのは、1つの巨大な表形式のデータで、この表には、自動生成された数十~数百カラムが含まれます。そのほか、「顧客分析を目的に分析用のデータセットを作りたい」とセットして、生成されたデータをもとにdataExpressで簡易的に可視化することも可能です。さらに定期的にデータを更新するためのスケジュール実行機能やSaaSなどとシームレスに接続するアダプタ機能も提供します。
ETLやEAIなどデータを取得し加工するツールは既にあります。ETLはデータを集めデータウェアハウスなどに登録するもので、主にバッチでデータを集約します。EAIはデータを連携するもので、システム間でデータを同期し、トランザクションデータの随時処理などに利用します。対してdataExpressは、分析用のデータセットのためにデータの集計などの加工をするものです。
データを変換する機能などは、ETLやEAIと重複するところがあります。異なる点はETLやEAIはフォーマットを決めてから連携の仕組みを設計・構築しますが、dataExpressは、「分析のためにこういったデータが必要なのでは」から始めて、入力データさえ用意すれば分析用データが自動で生成されるところです。「アウトプットのイメージがないと従来のツールは使えませんが、dataExpressはまずツールがアウトプットを提案します」と、山崎はdataExpressの特長を強調します。
誰でも簡単に、すぐに分析用データを作ることが出来るので、分析が必要なタイミングを逃すこともありません。分析用データを用意するのに1、2ヶ月かかっていたものが、あっと言う間にできるのです。
データビークルには、PoCを含めれば200社を超える多様な組織のデータを分析してきた実績があり、それらで得たノウハウを生かし、dataExpressは開発されています。dataExpressにより、なかなか進まなかったデータから価値を得ることに分析者は集中でき、データ分析の1つの大きな障壁をなくすことができるのです。
dataExpresと言う名前は、各所にちらばったデータを目的地に届ける特急列車をイメージしています。リリースは2023年11月上旬予定です。
dataExpressをきっかけにパートナーとのエコシステムを拡大する
新製品リリースまでの2ヶ月あまりで「より市場にマッチするよう製品を強化します」と言うのは、取締役ビジネス開発部長の山本羊一です。
取締役ビジネス開発部部長 山本羊一
そのためにはまず特定のユーザー、パートナーにコンセプトテストを実施し、製品を実際に使ってもらいフィードバックを受け改善します。それを経て、操作感などを体験いただくイベントである「dataExpressテストドライブツアー」を実施、ハンズオン形式で新製品を体感してもらい機能要望のヒアリングなども行います。
製品をリリースしてからは、アーリーアダプターの顧客を見つけ、手厚いサポートでモデルユーザーとなってもらい事例化を目指します。
コンセプトテスト、ベータ版検証のプログラムには50社強が参加予定ですので、その後エンドユーザーはアーリーアダプターのプログラムに繋げ、SI会社などは順次新パートナープログラムに参画してもらいます。
「従来は直販の比率が90%以上ありましたが、今回の新製品のタイミングからインダイレクトビジネスにシフトすることを考えています」とも山本は言います。インダイレクトによる販売網の拡大もありますが、パートナー各社のソリューションとのエコシステムの構築も推進します。
その上でビジネスモデルの多様化を考えています。BI、AI、EAI/ETL、データクレンジングや名寄せ、データレイクなど多様なソリューションを持つパートナーがたくさんいるので、それらとdataExpressをシームレスに連携させ、パートナーもデータビークルもビジネスが拡がっていくことに期待しています。またERPやSFAなどさまざまなアプリケーションのデータ活用機能として、dataExpressを組み込むOEM化も考えています。さらにdataExpress自身をマネージドサービス化することも予定しています。
新しいパートナー制度は2023年6月から始まっており、すでに締結中も含め25社程がありますが、これを今後50社程度まで増やします。新設したのは二次店となるスタンダードパートナーとコンサルティングやソリューションビジネスを展開しているアライアンスパートナーで、アライアンスパートナーとの協業ではデータビークルの製品や研修サービスを使ってもらい互いのビジネスの活性化を目指します。
説明の後には参加した記者から活発な質問があり、新製品への関心の高さが覗えました。『マート待ち』問題は、BIツールなどを活発に使っている組織であればあるほど、大きな課題となっており、dataExpressでその課題を解決することが期待されています。
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以上、新製品dataExpress記者発表会レポートでした。
引き続き新製品に関する情報を発信していきますのでご期待ください。
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dataExpressの詳細、お問い合わせはこちらから
https://www.dtvcl.com/product/dataexpress/
【新製品dataExpress記者発表の外部記事はこちら】
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/15878/
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230906-2766123/
https://it.impress.co.jp/articles/-/25316
【テストドライブツアー開催のお知らせ】
データビークルでは新製品dataExpress の11 月発売を前に、 お客様向けに新製品先行体験イベント「dataExpressテストドライブツアー」を東京・大阪・福岡にて開催します。
詳細、参加をご希望される方は、お気軽にmail@dtvcl.com 、もしくはデータビークル担当営業までお問合せ下さい。
データ分析や活用、DX推進に関するお悩み、弊社製品の機能についてご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。