コラム
「データ分析のニュータイプ」古野電気が目指す次世代型データドリブン経営とは? 古野電気 峯川和久氏 三上朗氏インタビューVol.1
本シリーズはデータ活用で成果をあげている企業・組織のキーパーソンの方からデータ活用についてお伺いします。
今回は古野電気株式会社 IT部部長 峯川和久さんとIT部データマネジメント課課長 三上朗さんです。
世界90か国以上に販売拠点を有する船舶用電子機器のトップメーカーである古野電気株式会社。
”安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現”を事業ビジョンに、大型商船をはじめ漁船やワークボート、さらにはヘルスケアやGPS(GNSS)など、お客様や社会に貢献すべく様々な機器やサービスを世界中に提供しており、データドリブン経営推進プロジェクトの一環としてデータビークルの「dataDiver」「dataExpress」を採用していただいております。
今回は同社でのデータドリブン推進プロジェクトについて、本プロジェクトを担当された同社IT部部長の峯川和久さんと、IT部データマネジメント課課長三上朗さんにお話しを伺いました。
世界一の魚群探知機メーカーが狙う見える化の先
―まず古野電気株式会社のご紹介と峯川様と三上様の自己紹介をお願いします。
峯川 古野電気は1951年、日本人が食に困っている戦後すぐの設立です。
当時は食料難を改善したいけれど漁師さんは戦争に行ってしまって働き手がいない。
そんな中で、海に囲まれている日本では、魚を効率よく捕ることこそがタンパク質の確保に繋がるだろうと思った創業者は、軍の払い下げ品であった音響測深機を改良することで、最初の魚群探知機を作りました。
最初は魚群探知機じゃなくてインチキだって罵られたり、漁師さんと船に乗って、「なんも捕れないやないか!」って海に投げられたりしながら開発したのが初代です。
つまり私たちは世界初の魚群探知機の会社です。
それから船舶関係でどんどん事業をのばしていきました。最初は漁業だけでしたが現在は商船向けの衛星通信装置やレーダーなどを自前主義でおこなっています。
さらにその技術を海の世界だけに留めず骨密度測定装置やETC車載機、さらに気象観測システムなどの防災ソリューションも提供しています。
続けて私の自己紹介に入りますと前職では経理部長をやっていて、ERP導入をしたりしてするうちにシステムの方に移っていき、14年前には為替コントローラーとして古野電気に入社しました。
その後ドル高が落ち着いたタイミングでERPの導入話がおこり、最初は情報システム部がやっていたのですが、前職でのERP導入経験から導入プロジェクトを任され、そこがきっかけで経理から現在までIT部を率いています。
三上 私は2015年2月入社になります。前職は峯川と同じ会社なのですが、WEBアプリケーション開発のエンジニアをしていて、広告ビジネスがのっかったアプリケーションでしたので当時からアクセスログ集計を重視していました。それがかなりパフォーマンスチューニングをしないともたない仕様だったので、アプリケーション開発をしながらもデータに基づいて決め事をしていました。
そして先ほどのERPの導入プロジェクトの直後くらいに私が入社しまして、導入自体ではなく、ERPが入りデータが入り、そのデータを活用していくために私がジョインしたという形になります。
100人以上がデータを見ている。なのにビジネスに活かしきれていない?
ー今回のプロジェクトにあたって、貴社ではどのような課題を抱えていましたか?
峯川 私は2019年からIT部を率いるようになったのですが、その時から「データの民主化」を標榜しています。当時はまだDXという言葉もありませんでした。
その中でIT部が全社のBIツールをひとつにそろえて、各部門でどのレイアウトを誰が見ているのかがリアルタイムに全てわかる仕組みを作りました。
それらの取り組みのなかで「データの民主化」の輪が広がっていき、私たちIT部だけじゃなく色々な部署でBIツールを活用するようになり、今はほぼ毎日、100人以上が何らかのグラフを開いて業務で使っているという状態です。
このようにデータドリブンな状態はできつつあるのですが、その反面、せっかく100人以上がデータを見る環境を作ることができたのに、中々それをビジネスの意思決定に活かしきれていないのではないか?というところが次の課題でした。
つまり、毎日データを見ていても売上に繋がらなければ見てないのと一緒ですよね。
実際に売上や利益に繋げるには、今見ているデータを分析し、活用してデータに基づいて意思決定する必要があると考えました。
製造業の某社が高収益になった一因は間違いなくデータ分析のちからです。製品も優れてはいますが、高収益のすべての理由が製品だと私は思いません。
ではなぜ同じ製造業のうちはそうならないのかを私が役員にぶつけ始めたのが2023年で、これがまさにデータを活用して意思決定する、今あるデータを見てそれが実際に売上や利益にどうつながるのかいうテーマで課題に取り組み始めた時でした。
三上 皆さん見てくれてはいるのですが、現状可視化で終わっているケースがほとんどです。今までExcelでやっていたところをBIでグラフ化して、報告資料を作らずにもうこれで全部会議の資料ですというのは文化的にはいいと思っています。
会議のための資料作成時間を増やすくらいだったら分析や考察に時間を使うという動き自体は良いのかなと。
ただその一歩先の数字を見て、次のアクションを変えて、そのアクションが売り上げ利益に貢献する、というところはまだかなと思いますね。
人間がどうしても気付けなかった世界に気付かせてほしい
―このプロジェクトの中で重要なデータ分析やデータ準備、基盤のところに弊社のツール「dataDiver」「dataExpress」をご採用頂いていますが、その理由や期待をお聞かせください。
峯川 先述の通り各課長さんや所長さん、営業もデータを見て動くというところまでは出来ています。なのに売り上げに繋がらない、それはなぜなのか。
データを見ただけで売上が上がるほど商売は楽じゃなくて、データを見て全員が行動規範やアプローチを変えて、製品も変わって、そこでようやく売上って伸び始めると考えています。
役員もデータを使ってデータドリブンな経営をし、うちの会社を変えたいという思いはある。ということは、あとは意思決定ですよね。データを見てどう意思決定するのかというところを会社として考えましょうよというところまでは来ています。
それにドライブをかけるには見える化の先、データ分析をして見えないものが見えるところに行く必要がある。
そこへの取り組みの際に「dataDiver」と「dataExpress」をご紹介頂いたので、これを使って見える化の一歩先をやってみることで、うちの売上拡大と利益率の向上につながる活動に繋がることが期待出来ると思いました。
三上 データを見られるようにはなって来ていますが、まだまだ営業所ごとに閉じているのが実状です。ある営業所で、この漁ならこの買い合わせみたいなものがあっても他の地域でまだあまり活用できていなかったり、そもそも気付けていなかったり。やはり人間は興味がないとどうしても気づけない世界がある、人間が気づけないところを提案するというところも期待していますね。
(続きます)
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