「データ分析のニュータイプ」古野電気が目指す次世代型データドリブン経営とは? | DataVehicle

事例紹介

「データ分析のニュータイプ」古野電気が目指す次世代型データドリブン経営とは?

古野電気株式会社

IT部部長 峯川和久さん
IT部データマネジメント課課長 三上朗さん

世界90か国以上に販売拠点を有する船舶用電子機器のトップメーカーである古野電気株式会社。
”安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現”を事業ビジョンに、大型商船をはじめ漁船やワークボート、さらにはヘルスケアやGPS(GNSS)など、お客様や社会に貢献すべく様々な機器やサービスを世界中に提供している。BIでの見える化が進み、その先を狙う同社ではデータビークルの「dataDiver」「dataExpress」を活用しデータドリブンな経営に取り組んでいる。

本プロジェクトを担当された同社IT部部長の峯川和久さんと、IT部データマネジメント課課長三上朗さんにお話しを伺った。

毎日データを見ていても、売上に繋がらなければ見てないのと一緒

―今回のプロジェクトにあたって、貴社ではどのような課題を抱えていましたか?

峯川:私は2019年からIT部を率いるようになったのですが、その時から「データの民主化」を標榜しています。当時はまだDXという言葉もありませんでした。
その中でIT部が全社のBIツールをひとつにそろえて、各部門でどのレイアウトを誰が見ているのかがリアルタイムに全てわかる仕組みを作りました。
それらの取り組みのなかで「データの民主化」の輪が広がっていき、僕らIT部だけじゃなく色々な部署でBIツールを活用するようになり、今はほぼ毎日、100人以上が何らかのグラフを開いて業務で使っているという状態です。

このようにデータドリブンな状態はできつつあるのですが、その反面、せっかく100人以上がデータを見る環境を作ることができたのに、中々それをビジネスの意思決定に活かしきれていないのではないか?というところが次の課題でした。
つまり、毎日データを見ていても売上に繋がらなければ見てないのと一緒ですよね。
実際に売上や利益に繋げるには、今見ているデータを分析し、活用してデータに基づいて意思決定する必要があると考えました。

三上:皆さん見てくれてはいるのですが、現状可視化で終わっているケースがほとんどです。今までExcelでやっていたところをBIでグラフ化して、報告資料を作らずにもうこれで全部会議の資料ですっていうのは文化的にはいいと思っています。会議のための資料作成時間を増やすくらいだったら分析や考察に時間を使うという動き自体は良いのかなと。
ただその一歩先の数字を見て、次のアクションを変えて、そのアクションが売り上げ利益に貢献する、というところはまだかなと思いますね。

―このプロジェクトの中で重要なデータ分析やデータ準備、基盤のところに、弊社のツール「dataDiver」「dataExpress」をご採用頂いていますが、その理由や期待をお聞かせください

峯川:先述の通り各課長さんや所長さん、営業もデータを見て動くというところまでは出来ています。なのに売り上げに繋がらない、それはなぜなのか。
データ見ただけで売上が上がるほど商売は楽じゃなくて、データを見て全員が行動規範やアプローチを変えて、製品も変わって、そこでようやく売上って伸び始めると考えています。

役員もデータを使ってデータドリブンな経営をし、うちの会社を変えたいという思いはある。
ということは、あとは意思決定ですよね。データを見てどう意思決定するのかというところを会社として考えましょうよというところまでは来ています。
それにドライブをかけるには見える化の先、データ分析をして見えないものが見えるところに行く必要がある。
そこへの取り組みの際に「dataDiver」と「dataExpress」をご紹介頂いたので、これを使って見える化の一歩先をやってみることで、うちの売上拡大と利益率の向上につながる活動に繋がることが期待出来ると思いました。

三上:データを見られるようにはなって来ていますが、まだまだ営業所ごとに閉じているのが実状です。
ある営業所で、この漁ならこの買い合わせみたいなものがあっても他の地域でまだあまり活用できていなかったり、そもそも気付けていなかったり。
やはり人間は興味がないとどうしても気づけない世界がある、人間が気づけないところを提案するというところも期待していますね。

―このプロジェクトの中で達成できたことを教えてください

三上:本当にやりたかった販売の分析のところは説明変数が足りなくてうまく行かなかったのですが、出荷前の検査と気象データについての分析は見事にハマりました。
担当者の経験と勘からの予測はあったのですが、それを裏付けることが出来たプラス閾値まで定義をすることができました。
また今回結果が出たこと自体も成果ですが、工場が物理的に離れたところにあり今まではこういう相談が我々のところにくるということ自体がありませんでした。
データに関する相談がIT部に気軽にできる文化に変わったところが結構大きいですね。

―部門に関わらずデータのことで困ったことがあったらIT部に相談がくるのですね

三上:月に1回よろず相談会というものをおこなっています。毎月大抵2、3グループはきますね。
もちろん見える化のところでBIツールの表現についてなどもありますが、データを持ってきて、これでなんかできないか?みたいな漠然とした相談も来ます。
最初に私たちのところに相談に来てもらえるというのは、IT部でデータのことをやっていて、自分たちも活用できるかもという認識が全社の中でちゃんとしみわたってきたからだと思いますね。

―データの民主化が進んでいる証拠ですね

峯川:BIツールだけじゃなく今回dataDiverを入れたことによってより動きに変化もあったしドライブもかかっているというのは確実に言えることでしょうね。
たとえ目に見える成果はすぐなくても、スモールサクセス、スモールスタートで進んでいます。
データの活用はそりゃもう果てないですよ。人事もそうだし販売もそうだし、経営全般に必要です。

勘と経験による神がかった営業采配をデータ分析で超える

―これからさらにデータドリブンな経営について進まれると思います。今後の取り組みについても教えてください

峯川:先ほどお話しした既存のBIツールで見られるデータに、国内営業部の販売計画が人ごとなど色々な指標で出ているものがあります。
これを見ると営業はこれまでの経験と勘から、例えば今はサンマが最盛期のはずなので、気仙沼のサンマ漁をやっている船がこれくらいあり、そこにこれくらい売れないとおかしい、みたいな感覚があります。
さらに国内営業部長とかだと、これとこれはセットで売れるはずなのに、なんでここは売れてないのか、営業努力を怠っているんじゃないのか?みたいなことを、このデータを見ながら考えるわけです。
だけどそれってその人たちの経験と勘が全てで、実はデータを組み合わせたらもっと新しいことや気付かなかったことに気付くはずですよね。

以前国内営業部長に神様みたいな方がいたのですが、データ分析をすることによって、その方一人の経験以上の物、うちの会社で今まで未開拓だったものを発見することができたらその神様みたいな国内営業部長の営業采配を超えることが出来るんじゃないかと思いました。
ただ正直まだ有用なデータが足りていない。そのため残念ながら一旦ストップしていますが、諦めていません。
私たちIT部が、客観的俯瞰的な分析をするために変数変更などを柔軟にこなせるデータ分析基盤の構築をし、分析に有用なデータがある程度そろってくると、改めてdataDiverが真に使える状態になると思います。
販売業務でのビジネス行動の変革を起こしてゴールに行くというのがこれからですね。

分析単位での集計が必要ということに気付くことができた

―分析のために必要なデータの不足について気付かれたことも大きな一歩ですね

峯川:これまでのデータでもうちょっといけるかなと思っていました。
でも残念ながらあまりいい結果が得られなかったものはやはり軸がずれていたり粒度が違っていたり。

三上:そもそも何のためにというところは、データを作るときに決まっていませんでしたからね。

峯川:今回こちらについて成果は出ませんでしたが、確実な販売データ受注データがもうすでに揃っていた我々にとって、新たに分析単位での集計が必要ということに気付くことができたのは非常に重要な一歩だったと思います。

―このプロジェクトの中で重要なデータ分析やデータ準備、基盤のところに、弊社のツール「dataDiver」「dataExpress」をご採用頂いていますが、ご感想はいかがでしょうか?

三上:一番の感想は科学的根拠に裏付けされた結果が出るというところですね。これはもうストライクだったかなと思っています。
我々はデータの民主化やBIツールで可視化というところの取り組みはずっとしてきましたが、統計的なアプローチはおこなっていませんでした。
データビークルの製品を使い始めて少ししたところで、最初の取り組みの中で違和感がずっとあった原因はそこだった!ということに気づきました。
私たちは統計的アプローチというものをずっとやっていなかったので、そこに気付けたというのは大きなターニングポイントだったと思います。
意思決定というところはまだこれからですが、今の感想、気付きとしてはこのあたりですね。

―では最後に一言お願い致します

峯川:古野電気の創業は戦争で若い人たちが兵隊にいってしまい、人手不足の中で漁獲量を上げるために魚群探知機を開発した、というところからです。
そして私たちはいま実は同じ問題を抱えています。だって少子高齢化でしょう?
漁師を目指す若い人がどんどん減っていく中で、日本の食を支えなきゃいけない。そのためにはもう効率化しかないです。

そういう意味において私と、この会社の創業者である古野兄弟のマインドは一緒です。
となると私がやることはデータで全ての見える化と活用です。そのためにまずは社内データの分析や、様々な軸でデータを使って実際のビジネス、ひいては日本に貢献したいという思いを持っています。そのために私たちIT部がデータドリブンを推進し、全社でデータを共通言語にしていくことが出来れば、会社としてどうしても発生する歴史的なひずみや人間関係なども突破して、本当の効率化が可能になると思っています。
その実現のために今後もよろしくお願いします。

―本日はありがとうございました

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

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