コラム
DX推進にはDXコンサルを外注すべきか、組織を内製すべきか?
「DXを推進したいけれど、取り組める人材がいない」「誰がDX推進メンバーにふさわしいかわからない」。こうしたDX人材にまつわる悩みを抱える企業は少なくありません。DX人材は社内で育成するべきなのでしょうかコンサルタントを外注したほうがよいのでしょうか。この記事では、DXに必要な人材やDX組織内製化の重要性、コンサルタント外注のメリットなどについて解説していきます。
目次
DX推進に必要な人材とは
DXは誰がコミットするかによって成果が大きく異なるため、人選は慎重にする必要があります。DX推進チームを内製する場合も外部のコンサルタントを活用する場合も、DX推進に必要な人材について理解しておくことが重要です。
DX推進にあたって重要なポジションは、次の4つです。
1.ボス
ボスとは意思決定する人を指します。DXを推進する上では「新しいツールを導入する」「いままで行なってきた業務をやめる」といった大きな決断を次々に下す必要があります。ボスはこうしたシーンでリーダーシップを発揮し、適切に意思決定できる人物でなければなりません。
2.エキスパート
エキスパートとは現場事情やオペレーションに精通した人物が務めるポジションです。ときには多忙なボスに代わって、データ分析で得られた解釈の正当性や他の解釈の可能性について確認したり、他ポジションからの質問や相談に応じたりします。
3.データマネージャー
データマネージャーとは実際にデータを管理するポジションで、インフラ関係の設定ができたり、既になんらかのプログラミング言語が書けたりする人に向いています。理数系に強くシステムに触れるというだけでなく、データを活用・分析しやすく加工する能力や、データに関する問合わせに素早くに答えるスピード感が求められます。
4.分析担当者
得られたデータを分析し、業務の課題に「何がどれだけ関係するか」を解明していくポジションです。他ポジション(ボス、エキスパート、データマネージャー)とのディスカッションを重ねて試行錯誤を繰り返すことのできる忍耐強さが求められます。高度なIT知識や数学知識は必須ではありません。書籍や論文などにあたることも多いため、先行研究へのアンテナを広く張ることが大切です。
以上4つのポジションが揃うことで、スムーズなDX実現が期待できます。
DX推進には「内製化」と「外注」の両輪で進めるとスムーズ
DXは内製したチームのみで取り組むこともあれば、外部のDXコンサルタントに加わってもらうケースもあります。中には、外部のコンサルタントにすべてを任せたいと考える企業もあるでしょう。
もっともスムーズにDXを推進しやすいのは「内製化のみ」「外注コンサルタントのみ」「内製化に加えてコンサルタントも外注」のうちのどれなのでしょうか。
結論をいうと、チームを内製しつつ、外部のコンサルタントにも加わってもらうのが理想的です。その理由として以下の3つが挙げられます。
1.意思決定は外注コンサルタントにはできない
DXを推進する上では、企業のビジョンを描いたり今後の方針を決めたりといった重大な決断を下すシーンが多々あります。この決断をするのは経営層や現場責任者といった社内の人間であり、外部のコンサルタントに意思決定権はありません。意思決定者を内製チームに巻き込むことでDXは進みやすくなります。
2.ビジネスのプロは自社内にいる
DXを推進するには、業務を十分に理解しているエキスパートの存在が不可欠です。外部のコンサルタントがこのポジションを担うとすると、コンサルタントに業務のすみずみまでをレクチャーし、自社ビジネスについて理解してもらったうえで進めなければなりません。しかしこれでは相当な労力とコストがかかり大変非効率です。社内にいる現場エキスパートがDX推進チームに参加するほうが、スムーズにDXが進みます。
3.コンサルタント活用のメリットは大きい
コンサルタントはDXのプロセスやデータ分析に関する知見を豊富にもっています。また多くの企業でDX支援の経験を積んできているため、成功事例や失敗事例を踏まえた提案や助言が得られます。DX推進チームの内製が順調な場合でも、コンサルタントを活用するメリットは大いにあります。コンサルタントを活用することで、自社の推進しているDXが適切かどうか、業界トレンドや最新技術を反映したものかどうかといった観点から客観的なアドバイスを受けることができるためです。
上記3点から、
●DX推進は外注コンサルタントのみでなく、社内の人材が参加することが望ましい
●外部コンサルタントの活用でより効果的なDXが実現できる
といえます。
DXチームの内製化がうまくいきやすい企業の特徴
DXを推進する上で内製化がうまくいきやすいには、どのような特徴があるのでしょうか。
DXチームの内製化がうまくいきやすい企業とは
内製化がスムーズに進みやすい企業には以下の特徴があります。
●社内のITリテラシーが高い
●IT投資による業務効率化に積極的な人物が社内にいる
●経営層がDXに意欲的で、リーダーシップを発揮できている
●情報システム部門が保守的な運用にとどまらず、攻めの姿勢でシステム開発・運用に取り組んでいる
ITを活用して業務効率化を図りたいというムードがDX登場以前から社内にあった場合、社内の積極的な人物を拾い出してDX推進チームを組織することで、内製化はスムーズに進みやすくなります。
この場合でも、外部のコンサルタントを活用することで第三者のアドバイスを得られ、より効果的なDXが期待できるでしょう。
次のような場合はコンサルタントへの外注を視野に
平均的なITリテラシーが低い企業では、デジタル化やデータ活用といった取り組みを社内の人材のみで行うのは困難です。
社内のITリテラシーの度合いを測る1つの目安として、管理職層がExcelやPowerPointといったOfficeツールを使いこなしているかどうかという点が挙げられます。
一般的に、会社員が課長などの管理職に就き始めるのは30歳前後と考えられます。仮に管理職層が現在50歳代だとすると、その人たちが管理職に就き始めたのは20年ほど前ということになります。20年前といえばwindows98が登場し、企業でのExcelやPowerPointといったOfficeツールが導入され始めた時期です。
このとき、IT活用に前向きな企業では、管理職も積極的にITリテラシーを身に付けてきたはずです。つまり現在の管理職のITリテラシー程度は、IT活用に対する企業の姿勢を表しているともいえるのです。
この目安をもとに、自社の平均的なITリテラシーはどの程度かを確認してみましょう。ITリテラシーが低い場合は、外部のコンサルタントに大きくコミットしてもらうことをおすすめします。
コンサルタントを活用しつつ内製化も着実に進めよう
DXは適した人材が推進してこそ実現するものですが、内製化のみで成功に導くのは難易度が高いでしょう。外部のコンサルタントをうまく活用することで、より成功に向かいやすくなるといえます。
DXチームの内製化にあたっては、人材育成も課題となります。DXコンサルティング企業の中には、DX人材育成研修を実施しているところもあります。こうした研修も活用しつつ、着実に内製化を進めていきましょう。
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