データドリブン経営とは?具体例を元に分かりやすく解説 | データサイエンス | DataVehicle

コラム

データドリブン経営とは?具体例を元に分かりやすく解説

データドリブンという言葉をご存じでしょうか。あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、あらゆる企業にとっての課題であるDXを推進する上で、データドリブンは非常に大切な考え方です。この記事ではデータドリブン経営とは何か、またそのメリットや手順、取り組む際の注意点について解説します。

データドリブン経営とは

データドリブン(Data Driven)はデータ分析結果に基づいて判断を下したり、アクションを起こしたりすることで、経営にも活かされています。

データドリブン経営とは、収集・蓄積されたデータを分析し、分析結果に基づいて経営戦略を立てたり企業の方針を決めたりといった意思決定をする業務プロセスをいいます。

近年では企業でのIT化が進み、膨大な量のデータ収集・蓄積が可能になりました。しかし、それらのデータを十分に活用できている企業は多くはありません。データ分析を行なっていたとしても、最終的な意思決定は経営陣の経験や勘に基づいて行われることも多々あります。

データドリブン経営ではそういった主観的な判断は排除され、客観的なデータに基づいて意思決定が行われます。

データドリブン経営によって得られるメリットとは

データドリブンな意思決定に基づいた経営により、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。

人間が経験しきれない情報を得られる

人間が経験と勘に頼って顧客の行動を予測しようとしても、自分が見たことのない顧客の行動に関しては予測できません。しかし、データを収集・分析することで、たとえ100万人もの顧客の行動でさえ予測できるようになります。人間だけでは見落としてしまうかもしれない顧客のニーズをつかむことで、利益増に寄与します。

生産性がアップする

データドリブンな意思決定をすることで、意思決定までの時間短縮や人件費の節約も期待できます。SSRN(Social Science Research Network)の論文では、データドリブンに意思決定している企業は、そうでない企業に比べて生産性が5~6%高いと報告されています。

意思決定に関しての説得力が出る

人間の経験や勘も経営における貴重な判断材料ではありますが、「個人的な思いだ」「主観的だ」と受け止められやすく、意思決定の理由として納得を得るのは難しいものです。データドリブンになされた意思決定は数値を用いて説明できるため説得力が増し、説明責任が果たしやすくなるというメリットがあります。

データドリブン経営の手順

データドリブン経営を成功に導くためには、適切な手順で進めることが必要です。以下に手順を解説していきます。

1.導入領域を決める

データドリブン経営をどの領域で行うかを決定します。いきなりすべての領域で導入しようとせず、大きな効果が得られる領域を見極めることが大切です。

2.データを整理・収集する

導入領域が決まったらデータ整理を行います。「いまあるデータで活用可能なものは何か」「それらのデータはどのように管理されているか」「追加で集めるべきデータはあるか」といった観点で整理を進めていきましょう。

データが少ない、またはそもそも存在しない場合には、データ収集から行う必要があります。この際、手当たり次第に収集していては時間を浪費するだけでなく、不要なデータを増やすことにもつながります。何を分析したいのか、そのために必要なデータは何かを明確にして収集しましょう。

3.データ分析

データ分析のプロセスでは、分析ツールによる処理結果から一定の傾向を導き出したり、データ同士の関係性を発見したりします。分析は社内の分析担当者が行うほか、外部のコンサルタントに加わってもらうケースもあります。

4.意思決定に活かす

データ分析の結果を踏まえて、経営方針や施策についての意思決定を行います。

企業における意思決定は、会議の場だけでなく非公式に行われる場合も多々あります。意思決定が「誰によって」「どのタイミングで」「どのように」行われるかが明確でないと、せっかくの分析結果が考慮されずに意思決定が行われてしまうケースもあります。分析結果が間違いなく活かされるよう、意思決定のプロセスを明確にしておくことが大切です。

人材育成

上記の手順1~4と並行して、データドリブン経営のノウハウを身に付けた人材を育成する必要があります。データドリブン経営をスムーズに進めるためには、以下の4つのポジションが必要です。

1.ボス:データを理解し、リーダーシップを発揮して意思決定をする人
2.ビジネスエキスパート:現場の事情とオペレーションに精通した人
3.データマネージャー:社内データとITシステムに通じた人
4.分析担当者:他ポジションとディスカッションをしながらデータを分析する人

データドリブン経営で注意すべきこととは

データドリブン経営を進める上では、次のポイントに注意しましょう。

領域選びは慎重に

データドリブン経営の領域選びは慎重に行いましょう。データドリブンな意思決定により生産性が5~6%向上することを踏まえると、利益規模の大きな領域で導入することで、より大きな効果を得られるといえます。

例えば、利益規模100億円の事業にデータドリブン経営を導入し、利益が5%アップしたとすれば、増益は5億円。利益規模1億円の事業であれば、増益は5百万円です。利益が5百万円程度である場合、データ分析や人材育成費などのコストを考慮すると、企業としてのメリットは感じにくいでしょう。

また、現在人間が経験と勘に頼って意思決定をしている領域でも、正確かつスピーディーに判断ができている場合には、敢えてデータドリブン経営を導入するメリットは薄いでしょう。

データドリブン経営の導入により効果を十分に感じられる領域はどこか、十分に検討して導入することが大切です。

データ整理にこだわりすぎない

データドリブン経営では、いうまでもなくデータがきちんと揃っていることが重要です。データが十分でないと分析も行えません。

しかし、データをきれいにすることにこだわりすぎるのは要注意です。
例えば、ITの知識は豊富でもデータ分析のノウハウに乏しいといった企業では、データの整理ばかりに時間と費用をかけてしまい、いつまでたっても分析に進まないというケースが起こりがちです。

このように、データ整理にこだわるあまり本来の目的が達せられないのは本末転倒です。データを適度に整理しつつ、こだわりすぎないというさじ加減が重要です。

人材育成にも注力を

いくらデータを揃えても、データ分析の手法を身に付けた人材がいなければ良い分析はできません。また意思決定者がデータドリブン経営の意義やノウハウを理解していなければ、せっかくの分析結果も意思決定に活かされません。

データドリブンというとデジタル化や分析ツールの使い方ばかりに目が行きがちですが、同時に人材育成にも注力する必要があります。

データドリブンな意思決定が企業の成長を助ける

これまで経験や勘に基づいて意思決定を下すという方針で成長を遂げてきた企業にとっては、人間の主観を排除したデータに基づいて経営を進めることに抵抗を感じるかもしれません。しかし、市場環境は大きな変貌を遂げつつあります。デジタル化とデータ活用を重視したDX時代を生き抜くためには、従来の経営スタイルから脱却する勇気が必要です。経営陣がデータドリブン経営の意義を理解することはもちろん、適切な手順にそって効率的に進めることが求められています。

 

 

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