コラム
顧客分析の方法を具体例を元に分かりやすく解説
新規顧客やリピーターを獲得するためには顧客分析が欠かせません。適切な顧客分析をすることで、顧客への理解を深めることができるからです。一方、不適切な分析は理解が不十分となり、「わかったつもり」になってしまうリスクもあります。顧客分析はどうすれば効果的に行えるのでしょうか。この記事では顧客分析のメリットや方法、顧客分析を行う際の注意点について解説していきます。
目次
顧客分析とは
顧客分析とは、自社の顧客や自社で扱う製品ジャンルのユーザーを深く理解するために行う分析のことをいいます。
ひと口に顧客といっても、好みやライフスタイルはそれぞれ異なります。顧客の好みを深く理解したうえで商品開発やプロモーションを行うことで、顧客満足度や購買率、リピート率の向上を目指します。
顧客分析のメリット
顧客分析をすることで、以下のメリットが得られます。
●顧客満足度が高い商品を生み出すことができる
顧客への理解を深めることで、顧客満足度が高い商品を作ることができます。
誰かにプレゼントを贈るときのことを思い浮かべてみましょう。相手の好みや欲しいものがわかっていれば、プレゼント選びはそれほど難しくはないはずです。ところが相手の好みが理解できていないと、何を贈ればよいのかがわかりません。
仮に「女性だから」「若い世代だから」といった属性だけを判断基準にプレゼントを選んでも、喜んでもらえるかどうかはわかりません。
商品開発にも同じことがいえます。顧客を分析し深く理解することで、本当に顧客の喜ぶ商品が提供でき、それがひいてはヒット商品の誕生につながるのです。
●既存商品もヒットに導ける
顧客分析は既存商品のプロモーション改善にも有効です。
商品自体はこれまでとまったく同じものでも、顧客分析をすることにより顧客の心により響く伝え方を発見することができます。
顧客分析を既存商品のプロモーション改善に活用した例に次のようなものがあります。
ある企業で、食器洗い機を「食器洗いの時間が削減されます」という売り文句で発売したものの、思うように売れませんでした。そこで、「削減された時間でお子様とゆっくり過ごせます」というメッセージに変えてみたところ、売れ行きが伸びたというのです。
「子供との時間が増える」というメッセージは、すべての顧客にとって魅力的というわけではありません。顧客によっては「パートナーとリラックスする時間が増える」「趣味を楽しむ時間ができる」といったメッセージが響く場合もあるでしょう。
このように、どんな伝え方が心に響くのかは顧客によって異なります。
顧客分析をすることで、自社の顧客はどんな人たちで、どんなメッセージが効果的なのかを理解でき、既存商品をヒットに導くことができる可能性が高まります。
顧客分析の方法
顧客分析を行う方法・手順は次のとおりです。
1.調査項目を設計する
まずは調査項目を設計します。
顧客分析では、顧客のデモグラフィック(年齢・性別・学歴・年収・居住地などの人口統計学的属性)だけでなく、ライフスタイルや価値観といった側面も重要です。こうした心理的な要因をどのように把握するかをしっかりと検討し、設計していきましょう。
2.調査対象者を決める
調査の対象集団を決定します。
日本全国の顧客を対象とする場合もあれば、地域を限ったプロモーションでは該当地域の顧客のみを対象とする場合もあります。
3.効率的な調査方法を選定する
調査対象集団が決まったら、その集団に最適な調査方法を検討します。
調査方法にはweb調査や訪問調査、郵送調査等がありますが、インターネットが苦手な調査集団に対してweb調査を実施しても十分な回収は期待できません。回答数を確保するためにも、対象集団に合った方法で調査を実施しましょう。
4.得られたデータを分析する
データが揃ったら分析に取り掛かります。顧客分析にはさまざまな手法がありますが、ここでは代表的な2つの手法について簡単に解説します。
●セグメンテーション分析
既存顧客を属性や特徴、類似性ごとにグループ化し分析を行う手法です。グループごとのニーズや競合動向などについて分析することで、自社の強みが活かせる顧客グループや今後獲得していくべき顧客グループを把握し、戦略に活かすことができます。
●RMF分析
顧客を「Recency(直近購買日)」、「Frequency(来店頻度)」、「Monetary(累計購入金額)」の3つの指標を軸にグループ化し、それぞれのグループに最適なマーケティング施策を実施する手法です。
顧客分析の注意点
顧客分析を行ううえでの注意点について、顧客分析の際に陥りがちなケースをもとに解説していきます。
顧客分析で陥りがちなケースとは?
顧客分析で見られる残念なケースとして、デモグラフィックな基礎集計だけで満足してしまうことが挙げられます。基礎集計止まりの分析では、以下の2つの観点から非常にもったいないことといえます。
●重要な分析に踏み込めない
属性集計データだけを見ても、「自社の顧客には女性が多い」「若い世代が多い」といったことがわかるのみで、日本人全体の集団と比較して自社の顧客がどのように偏っているかが読み取れません。
この偏りの原因を分析することで自社製品の魅力を発見したり今後の戦略に活かしたりできるところを、基礎集計にとどまり偏りの分析まで踏み込めていないケースが多いのです。
●「意外な切り口」に注意が向かない
基礎集計ばかりに注目してしまうと、心理的な質問に関する分析がおろそかになりがちです。
せっかく心理的な質問をしていても、調査者側で「多くの人はこう答えるだろう」という仮説が想定ができていないと、想定と異なる意外な切り口や興味深い偏りがあっても見落としやすくなります。
これは顧客を深く理解したり新しい視点を発見したりできる機会を逸しており、大変もったいないことなのです。
より踏み込んだ分析を行うには
では、基礎集計よりさらに踏み込んだ顧客分析を行うためにはどうすればよいのでしょうか。
●自社顧客以外のデータも収集する
自社顧客のデータだけでは、自社製品を選ばない理由や他社製品ユーザーの傾向については理解できません。自社顧客のデータと合わせて、他社ユーザーのデータも収集しましょう。
●自社顧客と他社ユーザ―の偏りを分析する
自社顧客と他社ユーザーではどのような違いが見られるかを分析します。
例えばデモクラフィックデータを分析する場合、自社顧客では「女性が7割」という集計結果のところ、他社ユーザーは「男性6割、女性4割」という構成比が判明したとします。この集計結果から「自社では女性からの支持が厚い」ことが発見でき、さらにその原因を分析することで自社の強み・弱みの発見につながります。
適切な顧客分析で売上も顧客満足度もアップさせよう
顧客に喜ばれる新製品を発売したり、既存商品を新たな視点で顧客に伝え直したりすることは、売上アップだけでなく顧客満足度の向上にもつながります。
属性はもちろんライフスタイルや価値観もさまざまな顧客に対して、何を提供すれば喜んでもらえるのか。どんな伝え方ならより顧客の心に響くのか。
これらを理解するのは簡単なことではありません。しかし綿密な調査項目の設計や丁寧な分析により、顧客の傾向や自社製品の強みを理解することは可能です。本記事で紹介した手順や注意点を参考に、より踏み込んだ顧客分析に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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