売上分析の方法を具体例を元に分かりやすく解説 | ビジネス | DataVehicle

コラム

売上分析の方法を具体例を元に分かりやすく解説

「従来の経験と勘だけに頼った企業活動に限界を感じる」「売上を拡大するために現状の売上分析をしたいが、どうしたらいいかわからない」。そんな悩みを抱えている企業は少なくないかも知れません。この記事では、売上拡大の戦略を練るための売上分析の方法について、具体的事例を交えて分かりやすく解説します。

売上分析とは

売上分析とは、企業における売上高をセグメント別に分け、それぞれを比較して自社の優位性や課題を見つけることをいいます。

予算を達成した、目標に未達だったというマクロな視点だけでなく、売れ行きのよかった商品や地域、いつ売れたのか、誰が買ったのかなど、細分化したデータを分析するのが、売上分析の特徴です。

売上分析で大切となるのは、以下の4つの視点です。

いつ:昨年対比など時間軸で比較する
どこで:売上が上がっている地域の確認をする
何を:どの商品が売れているのかを分析する
誰が:顧客ごとに分析する

これらの観点から網羅的に分析を行なうことで、自社の強みや弱みが分かり、売上拡大を図る経営戦略を練る材料となります。

売上分析の目的

売上分析の最大の目的は、効率的に売上を拡大させることです。

自社の売上を前述した4つの視点で細分化し、分析することで、売上状況の現状把握をすることができます。

現状把握を行なった上で、具体的な目標設定を行なうことで、より明確な戦略を立案することが可能です。

例えば、売上分析によりA社に対しBという製品の販売が増えていることが分かれば、A社にさらに販売攻勢を仕掛けたり、類似のC社にターゲットを絞ったりと具体的な戦略を練ることができます。

売上分析は、逆に売上が衰退している商品なども把握することができるので、自社のポートフォリオを組み替えるタイミングが分かったり、商品への投資を絞ったりと、経費の削減にも役立ちます。

売上分析をするメリットとは?

データを細分化し、売上分析を行なうことで、以下のようなメリットがあります。

適切な予算設定が可能となる
自社にとっての収益源が明確になる
市場のニーズや動向が分かる
経験や勘による戦略から脱却できる

売上分析を行なっていない企業では、戦略や意思決定が経験や勘に頼って行なわれることが多く、市場ニーズや従業員の考えとのズレが発生するケースもあるでしょう。

データに基づく売上分析であれば、従業員も取り組むべき課題が分かりやすいため、モチベーションの向上に繋がる可能性もあります。

売上分析の手法とは?

売上分析の手法にはどのようなものがあるのでしょうか?代表的な手法を4つ紹介します。

因数分解

1つ目は売上を複数の要素に分けて、原因を把握する因数分解です。例えば、小売店の売上を因数分解してみましょう

売上=客数×客単価×購入回数

客数が2倍、客単価と購入回数が現状維持の場合は、売上は2倍になります。因数分解することで、売上が増えた、減ったという事象の原因を把握することが可能です。

ABC分析

2つ目は商品を重要度によってグループ化するABC分析です。別名重点分析とも呼ばれます。

全体の売上の中で最も売上比率が高い製品群をAグループ、中程度の製品群をBグループ、低い製品群をCグループに分けて、販売戦略を検討する売上分析の手法です。

アソシエーション分析

3つ目は蓄積されたデータから関連性を見つけ出すアソシエーション分析です。

Dという商品を買った顧客はEという商品も買うことが多い、という様に売上データから法則性を導き出します。

アソシエーション分析により、売れる商品と売れない商品を把握することができるだけでなく、セット販売など販売戦略を構築することが可能です。

多変量解析

4つ目はたくさんの変数の中から売上との関係性を把握する多変量解析です。

時間や地域、商品の特徴や顧客の属性など売上の増減に関係している可能性のある変数をまとめて分析することによって、何がどれだけ売上に影響を与えているのかを分析することが出来ます。

多変量解析では、いままで売上に関係すると考えていたものが実は関係していなかったり、逆に売上にあまり寄与しないと考えていたものが大きな影響を与えているなんてことが見つかることもあります。
そのような発見をすることで、思い込みの判断による損失を避けることが出来るため、売上分析には重要な分析手法とも言えます。

売上分析をするうえでの注意点

売上分析をする際は、「あるべき姿」を整理しておくことが大切です。

企業活動においては、利益が出ればでるだけいいということは当たり前のように感じるでしょう。しかし、ひと口に「利益が出る」と言っても、ものすごく大きな投資をして大幅に利益を上げるという考えもあれば、非効率なことをやめてコストカットに励むことで経営状態が健全になることも同じ「利益が出る」状態です。

「利益を出したい」「会社を成長させたい」という漠然とした希望ではなく、会社として具体的にどういう状況であるべきなのかという視点を持って現状の売り上げ構成を見ていくことで、足りない部分が見えてくるでしょう。

売上分析の具体例を紹介

データを細分化して売上分析を行なうことで、現状把握が可能となり、未来の販売戦略の立案にも繋がります。先ほど紹介したABC分析とアソシエーション分析の具体例を確認していきましょう。

ABC分析の具体的事例

ABC分析は別名重点分析とも呼ばれる売上分析の手法です。「売上の8割は全体の2割の商品で構成されている」とするパレードの法則から派生しました。

ABC分析では、まず商品別の売上構成と累積構成比を算出します。そこから累積構成比が70%のものをAグループ、71~90%のものをBグループ、91~100%のものをCグループに分類していきます。イメージは下記の通りです。

ABC分析の具体例

 

グループを分ける累計構成比については、上記はあくまで目安なので、自社に合った比率を見つけるのが良いでしょう。

上記の表より10個の商品のうち4個で売上の70%を占めていることが分かります。この4つの商品が主力製品であるということが一目で分かることが、ABC分析のメリットです。

ABC分析を行なうことにより、どの商品に注力するべきか分かるようになり、販売戦略を効果的に立案できるようになります。

###アソシエーション分析の具体的事例
アソシエーション分析は、蓄積された顧客の購買データを分析することで、関連性の高い商品を抽出する手法です。

10万人の販売データを例にして考えてみましょう。

Dという商品を購入した人は5,000人=全体の5%
Eという商品を購入した人は7,000人=全体の7%
DとEをどちらも購入した人は4,000人=全体の4%

DとEのどちらも購入した人は全体の4%と少数です。しかし、Dを購入した人にのみ注目すると、その内の80%もの人がEという商品を購入したことが分かります。

アソシエーション分析をすることにより、DとEの関連性が分かるようになり、効果的な販売戦略に繋がる可能性があると言えるでしょう。

##売上分析で現状把握して未来を考えよう
社内にある売上データを細分化して行なう売上分析は、企業に様々なメリットをもたらします。これまでマクロの視点でしか売上を見ていなかった企業では、いつ、何が、どこで、誰に売れたのか?という現状把握ができるだけでも、売上分析を行なうメリットはあると言えるでしょう。

売上分析を行なう最大の目的は「売上を拡大させること」です。売上分析で現状把握を行なった後は、企業の売上拡大のための戦略立案、つまり企業の未来を考えていくことが重要となります。

データに基づく売上分析をしっかりと行ない、企業の未来を明るいものとしていきましょう。

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